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追い込まれている自衛官を救いたい

    
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追い込まれている自衛官を救いたい

753

これはいったい何の数字だろう?タイトルから察してお気づきだろうか?この数字が低くければ低いほどいいもので、0になれば最高だ。

止まらない、自衛官の自殺

この「753」という数字は、10年間のうちに、自ら命を絶ってしまった自衛官の人数を示す。

引用元:防衛省

防衛省が発表した令和2年度版「防衛白書」のデータによると、10年間で753名、1年あたり73名の自衛官が、自ら命を絶っていることがわかる。計算すると毎週1.5人のペースで自殺があるということになる。しかも、この数字には訓練中の事故のときの死者は含まれていない。つまり、戦争も起きていないにも関わらず、毎年1.5〜2個小隊が消えているのと同じなのだ。そう考えると、あなたも少しぎょっとしてしまうだろう。

朝礼で発表された「同僚の死」

転職計画科の管理人である私が、まだ自衛官だった頃の話だ。いつものように、その日も朝礼をして、いつも通り日課が始まると思っていた。だが朝礼は重苦しい雰囲気だった。私はそこで知らされた事実にかなりのショックを受けた。

駐屯地のなかで「3曹の自衛官が、屋上から飛び降り亡くなった」という発表があったのだ。その自衛官にはとてもお世話になっていたし、プライベートのことも良く知っていた。子供が生まれて、教育隊の班長にも任命されて、まさに人生これからという状況だったのだ。優秀な成績を収めていないと教育隊の班長には任命されない。本当に人柄がよかった。

「なのにどうしてだ。自殺という選択肢しかなかったのだろうか。」

なぜそこまで追い詰められてしまうのか

自衛隊の「中の出来事」は、あまり外に知られていない。自衛隊にまったく縁のない人でも想像できるように、それは決して快適な職場とは言えない。耐性のない一般のサラリーマンであれば、たった3日間でも、過酷な「中の生活」に叫んでしまうことだろう。

あなたも、こんな経験があるのではないだろうか?

広大な演習場内をまさに走っているその車両から蹴落とされたり、真夏の焼けたアスファルトの上で腕立て伏せを命じられ、手の皮をヤケドしたり。めまいがするほどの暑さでも、悪天候の山のなかでも、与えられた命令には背けない。1週間ベッドで寝れない、シャワーを浴びられない、やっと寝れると思ったら、ボロボロのカビだらけのベッドだったなんてこともある。でも寝れるだけありがたいと思ってしまう。

なにより自衛官は長時間の拘束を強いられる。定時をむかえたら「はい、終わり」とはならない。営内者であれば、帰宅する住居はないし、帰ってもそこは営内だ。自由に策を越えて、外の世界に出ることは許されない。イジメやパワハラをおこなう上司がいてもほとんど離れられないまま、24時間、同じ部屋で過ごさなければならない。そして不要な掃除、暴力、集団によるイジメ、体力錬成という名の執拗な腕立てをやらされる…。わずかなプライベートさえも干渉される。眠りから覚めたらまさにその場所だ。逃げたくても逃げ場がないところで、肉体的・精神的ダメージに耐えなければならない。

なかにはこれを聞いて「そんなのまだ序の口だ、もっと酷い目に合った」と言いたくなる人もいるだろう。

国防を担う職業だから、多少の無理は必要なことくらい自衛官はみな分かっている。だがパワハラやイジメに耐えるのはまったく別問題だ。

もし自分がターゲットになったら?と考えると恐怖でしかない

こんなニュースがあったことはまだ記憶に新しい

息子の様子がどうもおかしい。自殺をほのめかすような言動もあった。とにかく息子が危険な状態にあっていることは分かった。だが本人が辞めたいと言っても、すぐに辞められる自衛隊ではない。息子の異変に気づいた母親は駐屯地まで直接出向き

息子を辞めさせてほしい。今すぐに連れて帰りたい営内から出してほしい。

と掛け合った。しかし、案の定、隊はその申し出を拒み、辞めさせてくれなかった。そのやりとりが数ヶ月つづいたある日、とうとう息子さんは営内で自殺してしまったという事件だ。

そのときの釈明はこのようなものだった。「就職のあっせんをしていた最中でした」「組織としてこのまま帰すとダメになると判断し、就職先を見つけてあげようとしていました。」

なぜ、その人がそこまで追い詰められていたのかに目を向けるべきなのに、いつも通りの慣例にしたがっていたというわけだ。

自衛隊の退職手続きには、辞めたあとの働き先が確定していることが条件だったり、おまけに通帳を取り上げて口座の中身をチェックし、金銭管理ができていない隊員は認めないという謎ルールが存在する。それにどんなに早くても退職届が動き出してから、上級部隊の許可権者にわたるまで最低でも3ヵ月はかかる。

いちはやく休養が必要な場合でも、心理的安全性をすぐに得ることはできないのだ。

逃げられないそんなときあなたなら?

守れたはずの命だった。悪いことをして刑務所に入れられたわけではないのに、それと似たような扱いを受けることになってしまった自衛官のこと、そしてお母さんのことを考えると、胸が締めつけられる想いになる。

もし、これが自分だったら、自分の子供だったら…と思うと気が気ではない。

この話題にふれると、まだ入隊して間もない隊員のことを想像しがちだが、むしろ幹部のほうが自殺率が高いということは言及しておく。階級は関係ないのだ。むしろ階級が上がるにつれて、業務をこなす量も精神的なストレスも想像を絶するものになる。それに幹部こそ簡単に辞めることはできない。

まだ「外に出れる希望」が見えていたら、もう少し頑張れたかもしれない。しかし、退職を拒まれ続けていたら、一生ここから逃れられないと希望を失い、最悪の手段も考えてしまうだろう。

それに隊のカウンセラーに話したら筒抜けになってしまうのではないか?という不安で、なかなか人に相談できないという。どんどん一人で抱えて、どんどんマイナス思考にかかっていく。

相談できる場所があれば救われる命もあったはずだ。

逃げられない。そんなときの救出作戦

悩んでいる自衛官を一人でも救いたい。そういう気持ちから始まったのがこのサイトだ。

退職の手続きを加速させる方法を教えたり、一撃でサルベーション(救済手段・救出・救助)を施すことから始まり、第二の人生で失敗する自衛官たちを見て、こんどは転職で成功するための重要なポイントを教えるまでになった。

あなたにはもう「転職計画科」という味方がいる。私がいる。だからどうか命を終わらせてしまうようなことだけは、絶対にしないでほしい。

生きてさえいれば、楽しいことなんていくらだってある。そこから出た暁には、あなたの命を、家族、友人、恋人、そして仕事を通じて多くの人に価値を与えるために役立ててほしい。

いつでもあなたの声を聞く準備はできている。

あなたがその気になれば、外の世界で活躍できるような人物に生まれ変わらせることもできる。

迷いがあるなら、話すだけ話してみて欲しい。

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